きのこ数種に鯖、せこ蟹、丹波の黒豆の枝豆、明石のたこなど、この時季の旬の食材たっぷりな秋の鍋島会。友人おすすめのドラゴンサイズの太刀魚は悪天候のため市場に並んでいなかったそうで、また来年のお楽しみ。まずは鍋島からご紹介です。
鍋島 短稈渡船 純米大吟醸 短稈渡船100% 精米歩合45% 2015年10月製造
鍋島 兵庫県特A地区吉川産山田錦 純米大吟醸 山田錦100% 精米歩合35% 2018年12月製造
一ノ蔵 ササニシキ 純米大吟醸 ササニシキ100% 2019年9月製造
短稈渡船(たんかんわたりぶね)。初めての酒米です。名前が素敵すぎやしませんか?調べてみたところ、琵琶湖の船上で種々の種もみを水洗いしているときに名前の書かれたラベルを落としてしまい名称不明になってしまったため、便宜的に「渡船」と名付けた、または、九州福岡県産雄町が海を渡り滋賀で栽培され稈(わら)が短く倒伏しにくい品種となり、九州より海を渡った渡船、短い稈の渡船、「短稈渡船」と名付けられた、という説があるようで、どちらにしても素敵な響きの酒米です。雄町の子、山田錦の父、ということで、名前だけでなくすごい系統の酒米でした。
製造から少し経っているので味わい、香り、ともにこなれていて、しみじみ染み渡るような柔らかさ、甘み、華美すぎない華やかさもあり、とってもおいしかったです。
山田錦の純米大吟醸は、香りをひとかぎするだけではあっとうっとりするため息もの。前回の雫しぼりよりはややしっかりめのボディでこれぞ山田錦という存在感。言わずもがなでおいしいです。こういう大吟醸ばかりいただいているともう舌が肥えすぎてしまいそうで恐ろしい。
友人が仙台土産で買ってきてくれた一ノ蔵。一ノ蔵もおいしいですよね。毎日食べても飽きないごはんのように食事に寄り添う味わい。私ササニシキも好きだなあ。
市場へ買い出しに行ってくれるだけでなくせこ蟹を料理屋さんのようにむき身にして殻に盛り付け、鯵を三枚おろしにして持参してくれる友人、本当にありがたすぎます。なめろうは鍋島提供の友人の実家のご近所のお味噌屋さんのお味噌をさっと和え、食べるときに薬味野菜と混ぜていただきます。包丁でがんがん叩くのもそれはそれでおいしいけれど、食感好きの自分はこの食べ方がかなり気に入りました。今度からこうしよう。麹たっぷりの滋味深いお味噌で、味噌といえば信州味噌一辺倒の私ですがこのお味噌は大好きで、なめろう的なメニューのたびに持参してもらっている。いい加減自分で取り寄せねば、笑。
せこ蟹は身がしっかりと厚く食べ応え、旨味、食感、最高。蟹がくれるあの幸福感って、何にも替え難いですよね…単に私がめちゃくちゃ蟹好きだからなのかな。とにかく蟹が好き。そして蟹と日本酒って相性抜群、言わずもがなってやつです。
蟹の上はこのこ、その隣はこれまたぱんぱんに大きく実が詰まった丹波の黒豆の枝豆。魚焼きグリルで焼いていただくと香ばしさも加わっておいしい。写っていませんが一ノ蔵の酒粕とからしで漬けられた大根のからし漬けと、市場のお肉屋さん手作りのチャーシュー、甘い柿ももいいおつまみでした。からし漬けの漬け地がたっぷりの量でそのまま捨てるにもったいなく、大和黒鶏のむね肉を一晩漬けて魚焼きグリルの弱火で焼いたところしっとりとして味加減もよくとてもおいしくて。一ノ蔵に紹介したいぐらいでした、笑。娘もむさぼり食いするおいしさ(食べ物に関してはすぐに捨てないタイプ)。むね肉のパサつきが気になる方は、とりあえずなにかしらでマリネしてからの低温調理でしっとりおいしくいただけるのでぜひ!あ、むね肉の調理法に話がそれてます。
明石近郊在住の友人に買ってきてもらった明石のたこは、淡路島で食べた黄味酢がけに。同じく淡路島のわかめもさっそく使いました。たこ、やっぱりいつも買っているモーリタニア産やモロッコ産とは全く違いますね、笑。手前味噌だけれど、黄味酢がおいしくできて一安心でした。
同じく淡路島で買ってきたしらすは秋川牧園の大根と一緒にしらすおろしにし、アカモクと薬味野菜の和え物も作って、少しだけ胃腸を気遣ってみたり。まあこれだけ食べて飲んでいたら全く意味はありません。
必ず出す乾物料理、夏に金沢で買ってきた車麩を戻して素揚げし、調味したお出汁でさっと煮て春菊と合わせた炊きものにしました。お出汁は汁物として飲める程度の濃さにしています。
蓮根つくねは、卵の白身はつくねの生地に混ぜ込み、黄身は後乗せでいただきます。肉厚の鯖はさっと粉を振って揚げ、きのこあんかけにしました。揚げ鯖とあんかけ、って秋冬ならでは合わせ方で食べ応えもありよかったです。鯖大好き。
そうそう、友人がひらたけ、なめこ、舞茸とりっぱなきのこをたくさん買ってきてくれて、きのこたっぷりのきのこ汁にしたのに、がっつきすぎて写真を撮り忘れました。めちゃくちゃおいしかった!娘が唯一苦手な食材がきのこで普段家でほとんど使わないため、たくさん食べられてうれしかったなあ。大和黒鶏のもも肉は、水島先生流の弱火調理で焼いていただきました。この焼き方で焼くと皮はぱりぱり身はしっとりになるので、時間はかかってもこれ以外の方法では焼けません。
次回は年明け、おでんパーティーの予定。