お気に入りのうつわが欠けたり割れたりしたとき。思い切って捨てられなくて、渋々そのまま使ったり。そんなときは本漆を使った金継ぎをお願いしていました。でももっとかんたんに気楽にできる方法はないか、と調べて知ったのが「簡易金継ぎ」なる方法です。
簡易金継ぎ、銀継ぎとは
簡易継ぎは、本継ぎとは違い時間もコストもあまりかからないため、じゃあそれ一択でいいやん、となるかもしれないけれど、そこはあくまで「簡易」。まず使う材料が異なります。漆ではなくて合成うるし、割れや欠けを埋めるためにエポキシを使います。そこで一番気になるのが食器修理にそういった合成成分を使う、ということですよね。なので、気休めかもしれないけれど、修理箇所が直接口に触れないもの、食材が修理箇所に重ならないものを簡易継ぎでお直しするようにしています。うつわの雰囲気や自分にとって思い入れが深いものはプロにお任せ。簡易継ぎはあくまで簡易、自己責任で。
材料
工芸うるし
エポキシパテ 金属用
エポキシ クイック5
ブロンズ粉
アルミ粉
工芸うるしは「和信ペイント」の「ネオクリヤー」という透明のものを使っています。開封すると半年ほどもつそうなので、欠けた都度お直しをするのではなく、材料を買いなおしをしなくていいようまとめてお直ししています。ネットにて購入(2019年7月現在1,625円)。
エポキシパテ(2019年7月現在667円)とクイック5(2019年7月現在624円)はホームセンターにて。
金属粉2種はかなり前に購入して詳細は忘れてしまいましたが、ホームセンターか東急ハンズ、ネットのどこかで。小袋に入っていたので、小さい保存容器に入れ替えて使っています。
道具
竹串 2~4本
つまようじ 1~2本
ビニール手袋
カッターナイフ
マスク
紙やすり(200~220番)
柔らかめの細い絵の具筆など 3本
アルミカップ 4枚程
メラミンスポンジ
紙やすりはホームセンターで購入しました(値段不明)。筆は100円ショップにあるようなものでも可、細めのものが使いやすいです。金属粉を付けるときに使うので、金、銀各1本ずつと、金属粉落とし用に使う分とで計3本。
割れ、欠けのお直し手順
1.エポキシで接着
欠けて足りない部分はパテを少々輪切りにして手でこねてパーツを作って埋めて、固まるまで待つ(すぐに温度をもって固まってくるので注意)
青い器ぐらいの欠けはパテで埋め込んだほうがきれいです。これより小さい欠けだったら、アルミカップにクイック5を1対1で混ぜたものを欠けた部分に塗るパターンで。今回は黒い薬味皿のみクイック5、ほかはすべてパテを使用しました。
下のなます皿は欠けた部分が3つに割れていて小さく、ヒビも入っている少々難しい状況。欠けた部分を先にエポキシでくっつけてうつわ本体に戻そうと思って試行錯誤したもののパーツが小さくて素人ではうまくいかず、結局パテで埋めることに。これに関してはプロにお任せしたほうがよかったなあと思っています。一度簡易継ぎをしてしまうと本継ぎで直すことは難しいそうなので、そういう判断はお直しをする前にしっかりしないとだめですね…。
パテもクイック5もあとで削り取るので、少し多めに盛って大丈夫です。固まるまで30分ほど放置。
2.削って滑らかに
カッターではみ出した部分を削り取り、紙やすりで滑らかにして器と埋めた部分をスムーズにします。
3.工芸うるしと金属粉で埋めた部分をカバー
工芸うるしをアルミカップに少量出し、金属粉をごく少量混ぜ竹串で埋めた部分を塗りすぎないようにカバーしていきます。金と銀があると、器によって合いそうな色を選べて楽しい。
4.金属粉で工芸うるしをカバー
金属粉を筆にとってうるしを塗った部分にまきます。塗りすぎたときは広げないようにしてティッシュでぬぐい取り、粉をつけすぎないようにします。
5.うるし部分が乾くまで待つ
5~10分程度待って、きれいな筆で軽く余分な金属粉をはらう
6.完全に乾かしてから仕上げ
1時間程度放置し、うつわを水で洗い、ほかの部分についたエポキシや金属粉があればメラミンスポンジでやさしく落とす
ヒビのお直し手順
1.隙間があればパテを埋め込みくっつける
2.パテが固まったら竹串に工芸うるしを取り、ヒビ部分を何度もなぞる
3.割れ、欠けの3~6の手順と同様にお直しする
完成したらこんな感じです。
どうなることかと思ったなます皿もなんとかお直し完了したのでよしとします。ほかは小さい欠けばかりだったのでごくスムーズにできました。器によって金と銀を選べるのも楽しいし、お直し箇所がアクセントになり、さらに素敵になったりも。
粉やエポキシが飛ばないようにテーブルには汚れ防止に紙などを敷いてくださいね。最近はもっと手軽な自宅金継ぎのキットなんかも販売されているようです。3時間もあれば余裕でできるかんたん金継ぎ、銀継ぎでした。