2021年7・8月夏休み文楽特別公演『うつぼ猿』『舌切雀』@国立文楽劇場

2021年7月国立文楽劇場内

1年間が空いた親子劇場。お客様の入り具合はどうだろうなと思っていたらたくさんの親子連れで賑わっていた。
以前のようなお人形のお出迎えや一緒にお写真撮りましょうコーナーがないのはさみしいけれど、それでも無事開催されてお席が埋まるととてもうれしくほっとする。
大阪のこどもたちの夏のイベントとしてしっかり根付いていってほしい。

◆『うつぼ猿』(うつぼざる)

 

太郎冠者(たろおかじゃ)をお供に狩りに出かけた大名は、猿まわしに出会います。大名は毛並みの良い猿を見て、その皮で弓矢の矢の入れ物「うつぼ」を作りたいと考え、猿を渡すよう命じます。猿を殺さなければならなくなった猿まわしは悲しむのですが…狙われた猿の運命は!?(チラシより)

うつぼ、とは?となるところ、上演前に亘さんが実際の小道具を使って説明をしてくださった。
「靭(大阪人なら読める漢字)」とは矢を入れる容器のこと。高貴な人は毛皮を貼って装飾を施すのが楽しみだったそうで、それ用の皮として猿にまさに白羽の矢がたったというのがこのお話の状況。
国立劇場のツイートにはちゃんと靭の地名の由来まで説明してくださっていてぬかりない。
 


 
お猿の人形が出てくる=こどもウケ、的に演目が選ばれたのかもしれないけれど、猿まわしとお猿が無事ピンチを切り抜けてからのお祝いの舞の部分が冗長に感じる。全体の半分ぐらいをしめていそう…私の体感でそれなので、こどもにはもっと長い(簡単に言うと退屈)のでは、と思った。案の定退屈そうにするお子様が多く、娘もぼーっとしていた。
お猿の動きや表現で魅せる、にしてもとても難しいのでは。お人形はとってもかわいい(お猿のほうが私より1歳若かった!)あとはやっぱり狂言なので…
試しに狂言の靭猿を観てみたら面白くて、お猿は3~4歳の子方(子役)の初舞台、第一歩というのがよく分かる。
 


 

◆解説 文楽ってなあに

 
勘次郎さんの解説。鑑賞教室の内容とほぼ同じだったので、こちらもこどもには難しいのでは、と思ってしまった。
お子様に舞台に上がってもらって実際に遣いながら、という体験や共有ができないのがかなりつらいところ。
こどもにとって分かりやすい解説ってどうすればいいんだろう、と私も考え込んでしまった(答えは出ず)
 

◆『舌切雀』(したきりすずめ)

 

ご飯で作った糊を子雀に食べられてしまったお竹おばあさんは、腹を立てて子雀の下を切ってしまいます。それを聞いた善兵衛(ぜんべえ)じいさんが裏山へ行き、親雀に謝ると、親雀は宝が入った葛籠(つづら)をくれました。これを聞いたお竹ばあさんが、自分も宝が欲しいと雀に頼むと…(チラシより)

擬人化?された雀にデカつづら、時事ネタを盛り込んだ化け物たち、とお竹ばあの人相の悪さも吹っ飛ぶ内容。
お竹ばあの着物が豹柄だったのもめちゃくちゃ気になったのだけれど、あれはやっぱり、「大阪のおばちゃん豹柄着がち」あるあるをイジったものなのだろうか?
(ちなみに今はもう大阪のおばちゃん豹柄着がちではない)
3体の化け物(デカ人頭の蛇、デカ人頭の鷲、踊る理科室の骨格標本)が観客を楽しませたいのか怖がらせたいのか笑わせたいのか、方向性の迷走具合や最後の宙吊り雀ダンスもカオスだったけれど、面白かったです。親子劇場と言えばの宙吊り、しかも今回は雀3羽(人?)
 


 
前回はおこさま用お土産はかわいいイラストの絆創膏、今回は雀が舌を切られる原因になった「糊」ということで、大阪の会社、不易さんのスティックのり。
なんというか、ここで糊をおみやげにセレクトしちゃうセンスがすごい。娘は喜んでいた。
 
2021年夏休み文楽特別公演2部のこども用おみやげのフエキノリ
 
糊の上は、劇場で売られてい「文楽せんべい」を作っている「菓匠 文楽(文楽せんべい本舗)」の白あんまんじゅう「白太夫」とブッセ「団七」。
素朴な味わいのお菓子です。
有限会社文楽せんべい本舗
 

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