おでんはいつも土井先生、土井善晴さんのレシピで作っています。
<2020年11月10月 追記>
土井先生流おでんのおいしくなるポイントをもとに作る私のおでんレシピをアップしました。
高校生か大学生の頃、奈良の五位堂というところあたりに土井先生のお父様である土井勝先生のレストラン(確かお店の名前も『土井勝の店』というようなそのままのネーミングだった)があり、当時大人気でしみじみおいしい野菜料理だなあと思った記憶があります。
勝先生のご実家が大阪の住吉にあったからか、奥様の信子先生のお教室や土井先生のお兄様のお店も住吉にあったそうで。
そのおせち料理を義実家でいただいたことがあります。義実家ではお正月にはすき焼きをいただくのが慣例なのですが、すき焼きそっちのけでそのおせちをもりもりといただいていたなあ。今まで食べたり作ったりしたおせちの中であのおせちが一番おいしかった。紅白なますやたたきごぼうや黒豆。もう食べられないのが本当に残念です。
そして土井先生です。
土井先生のすごさは、その料理の内容はもちろんなのだけれど、私にとっては土井先生にしか醸し出すことができないキャラクターのすごさがあったりもします。
最近の先生はまじめな語り口のときが多いけれど、10年以上前に放送されていた『食べて元気、ほらね』という番組なんてただのいじられキャラでしかなくてどれだけおもしろかったことか!(覚えておられる関西の方いらっしゃるかなあ)とにかく、土井先生の文章やレシピを読むと脳内で土井先生が勝手にしゃべってくれるぐらい、レシピと同等かそれ以上に土井先生のお人柄とその語り口が大好き。
先日、電車で長距離移動をすることがあり、そのお供に滅多に買わない雑誌を買いました。
『暮しの手帖 96 創刊70周年記念号』です。
“料理家8人に聞きました。「料理力って何でしょう?」”というテーマ。ホルトハウス房子さん、有元葉子さん、瀬尾幸子さん、ウー・ウェンさん、堤人美さん、坂田阿希子さん、高山なおみさん、土井善晴さん、というそうそうたる面々で、どのお話も興味深くて読み応えたっぷりでした。
土井先生の記事は先生方の記事の最後に載っていて、いつものように脳内で先生の声で文章を再生しながら読んでいて、涙が出てしまった(年のせいか涙もろくて本当に困る)。感動する話でもなんでもなくて先生が料理のことを語っているだけなのですけれど、日々ごはんを作っている自分に、労いのようにをぽんとたたいてもらったような、そんなあったかい気持ちになったのでした。
私だって作ることがめんどうな日もたくさんあるし、外食することもある。ファストフードも食べるしコンビニご飯も買う。食べることがすごく好きで料理も好きなだけの、現代的な食生活です。
でも、これから仕事を始めたら今のような時間のかけ方でキッチンに立てなくなるだろう。そもそも、こうやって毎日おいしく食べられていること自体がとってもありがたいことで。
日々のごはんづくりに満足できなくなって、それがストレスやジレンマになることもあるかもしれない。なんらかの事情でごはんを作れないことすらあるかもしれない。先のことなんて分からないけれど、また読み返して、土井先生に肩をたたいてもらおうと。大切に保管して、いつか娘に渡したいと思いました。
なぜかヨメレバで出てこないのでカエレバを貼っておきます。
さて、ごはんのことを。
土井先生のレシピではお出汁というかもとの水の量が3Lなので、うちではさすがにその量を作れないうえそんなに大きな鍋もなく、量を減らしたりアレンジしたりして作っています。
下ごしらえをしっかりすれば必ずおいしくできます、とのことなので、下茹でや油抜きはしっかりと。関西のおでんなので牛筋は欠かせません。
夫は卵が好きなので入れてあげたいのですが、届いたばかりの秋川牧園の卵は新鮮すぎて茹で卵にするときれいにむけなくて。そのかわりに大根をたくさん入れました。お出汁をたっぷり吸った大根、しみじみおいしいです。
その大根の皮は少し厚めにむいて、細切りにして干します。無農薬の野菜はこれができるからうれしい。そして残ったおでん出汁に戻した干し大根や薄揚げや人参、干し椎茸なんかを入れて切り干し大根煮にして吸わせてしまいます。おでん種のおいしいお出汁が出たおつゆを無駄にしたくなくて、いつもおでんが終わると切り干し大根煮、のパターン。
信州・安曇野の大雪渓の純米にごりを開けました。もう少し寒くなると熱燗かぬる燗が欲しくなるけれど、今はまだ早いなと思い、氷を入れてロックで。もろみの甘くてこっくりした味わいのにごり酒で、ソーダで割ってもおいしいだろうなあ。
さっぱりとしたものもいるなと思って、鰹のたたき。たたきの下には玉ねぎスライスと大葉の千切りがたっぷり敷かれています。
写真には写っていませんが、大根葉は塩もみして少々の酢とごまを合わせて菜飯にしました。おでんのときのごはんは菜飯が定番。
土井先生のおでん
鰹のたたき
菜飯
大雪渓純米にごり